行政書士として働くには登録が必要
行政書士試験受験の目的がスキルアップや資格手当、就転職の武器などであれば、合格によってその目的は、ほぼ達したことになるかもしれません。
しかし行政書士として開業を志すのであば、事務所を設ける都道府県の行政書士会を通じて、申請書・誓約書等の必要書類を提出し、行政書士会に入会し、日本行政書士会連合会の行政書士名簿への登録を受ける必要があります。
登録に必要な費用は都道府県ごとに異なり、おおむね25~30万円程度です。
また、行政書士会に入会すると、月々の会費(5000円~7000円程度)が発生し、その他にも行政書士会内の各支部の月会費(1000円程度)がある場合や、任意に加盟する(実体は半ば強制加入)の行政書士政治連盟の月会費(1000円程度)もあります。
したがって、合格後すぐに開業をするのでなければ、すぐに登録する必要はないでしょう。
また、登録後に事務所を他の都道府県に移転する場合には、改めて移転先の行政書士会への入会金を支払うことになるため、登録する行政書士会は開業予定の地域で行うようにしましょう。
登録に必要な提出書類
行政書士会に登録するにあたり揃えなければいけない書類は東京都を例に取ると以下の通りです。
【提出書類】
行政書士登録申請書
履歴書
誓約書
行政書士会入会届
○○行政書士会政治連盟加入届
事務所写真
【添付書類】
行政書士となる資格を証する書面
戸籍謄本
住民票
登記されていないことの証明書
身分証明書
顔写真
事務所の使用権を証する書面
事務所については、以下のような制限があります。
事務所の設置にあたり、所在地が独立し安定した事務所形態でなければなりません(「行政書士事務所設置指導基準」参照)。したがって、賃貸借契約等による契約書の利用期間が1年以下の場合は安定した事務所とみなせません。また、登録審査の結果によっては現地調査を行う場合がございます。※レンタルオフィスで開業をお考えの方は、形態によっては行政書士事務所に適当で無い場合(机・ブース貸し等)がございますので、不明な点は事務局へお問い合わせ下さい。
また、自宅住所(住民票住所)に事務所を設置する場合には、「事務所の使用権を証する書面」は提出の必要はありませんが、賃貸で利用目的が住居専用となっている場合には代わりに「使用承諾書」を提出することになっています。
他の兼業の場合や、行政書士法人の使用人になる場合などには他の書類も必要となりますので、詳細は登録する行政書士会までご確認下さい。
このように提出する書類は、収集と作成だけでも結構な量になりますし、提出後実際に行政書士名簿に登録されるまでも数週間~数カ月程度かかりますので、その期間も開業計画に折り込んでおく必要があるでしょう。
その他の準備
実際に行政書士の業務を行う際には、行政書士試験で得た知識だけではほとんど役に立たないため、改めて実務的な知識を身につける必要があります。
知識を得る手段としては
- 書籍
- 各行政書士会で開催される研修等
- 行政書士や民間会社が独自に開催する勉強会セミナー等
実務の書籍でもある程度の知識は得られますが、人脈作りやより実践的な知識を得るためには研修やセミナー等にも積極的に参加するべきでしょう。
行政書士会で開催するような研修は比較的費用は安めですが、行政書士や民間会社が独自に開催するものの中には、かなり高額のものも含まれます。
特に民間のセミナーは玉石混交で、中には「ひよこ喰い」といって、右も左も分からない新人行政書士相手の悪質な中身の薄いセミナーもありますので、よく検討してから受講しましょう。
また、役所に提出する書類についは、実際に役所に出向き「申請書類」と「手続きをするための手引き書」をもらってきて、それを見ながら試作してみるのもひとつの方法です。
集客をどうするか
実務的な知識を得ること以上に重要なのが、いかに集客して仕事の依頼を得るかを考えることです。
結局のところ、実際に自分の手で仕事を得て完遂させることでしか、真に実践的な知識が身につくことはないからです。
集客についても、さまざまな書籍やセミナー等が開催されているので、実務知識の習得と並行して勉強に努めましょう。
特に現在ではホームページやネット広告によるインターネット集客が行政書士にとっても非常に重要なテーマとなっています。
なお、ホームページを作成してもグーグルなどの検索エンジンで上位に表示されるまでは、数カ月から1年程度かかりますので(資金力がありネット広告を出せる場合は除く)、本気で開業を考えている方は、合格前からある程度の知識をつけておいてスタートダッシュを切れるようにしておいてもいいかれしれません。