行政書士試験に挑戦するにあたって、学習スケジュールの立案は重要な準備のひとつです。
学習計画を立てずにとりあえずテキストの頭からなんとなく勉強をスタートさせ、結局学習するべき範囲を試験直前になってもしっかりと消化しきれずに、準備不足の状態で試験を受ける羽目になる方は、意外と多いものです。
せっかく貴重な休日や仕事の後の時間などを学習にあてるのですから、しっかり合格という成果につながるスケジュールを立ててから学習をスタートさせましょう。
行政書士試験の学習をいつスタートさせるべきか
学習スケジュールを立てるにあたり、まずは行政書士合格に必要な学習量を時間で見積もることが必要です。
一般的には初学者が行政書士に合格するためには、約700時間~800時間程度の学習が必要といわれています。
1日あたりにどの程度の学習を行えるかによって、学習をスタートさせるべき時期は変わってきますが、オーソドックスな計画としては、1日平均3時間、もしくは平日2時間、休日は5~6時間程度で約9カ月で学習を終了させることができます。
この場合、学習をスタートさせるのは試験年度の2月前後となります。
1日平均の学習時間が3時間程度確保できない場合には、学習期間を伸ばすことになりますが、行政書士試験に関しては1年を超えるような計画は避けるべきでしょう。
長すぎる学習期間はどうしても中だるみにつながりますし、学習開始当初のモチベーションは意外と長続きしないものです。
逆に1日あたりの学習量を増やして、学習期間を短縮させる分には、実現可能な範囲であれば問題ないでしょう。
むしろ、短期集中型のほうが、学習をスタートさせる時期が本試験と近いため学習内容が記憶に残りやすいことや、長時間の勉強に慣れることで、自然と本試験の3時間に渡り集中する力が養われることなど、メリットも多いです。
再受験の場合の学習スケジュール
再受験であっても、あまりにブランクが開いてしまうと取り戻すのに時間がかかってしまいます。
試験後はなるべく早めの学習再開を心がけ、3月ごろまでは1日1~2時間程度の軽めの学習を進め、4月ごろから本格的に学習を再開させるようなイメージで進めていくのがおすすめです。
試験分野ごとの学習時間の配分
行政書士試験は広大な出題範囲からの出題があるため、全ての出題範囲を深く学習しようとしては、どんなに時間があっても足りません。
本試験の得点配分を基準として、得点につながる科目に時間をかけましょう。
300点満点の行政書士試験の出題科目のうち、圧倒的に配点高いのは行政法(122点)、民法(76点)です。
この2科目だけでも全て正答できれば、原則的な合格基準である180点を超えます。
また、配点はさほど高くないものの憲法(28点)も他の科目とのつながりが強いという意味において重要です。
基礎法学の裁判所関係、行政法の国家賠償法や地方自治法、一般知識等の選挙制度など、憲法の知識が前提となっている分野が多くあります。
よって、行政書士試験の学習において中心となるのは、行政法・民法・憲法と考えておきましょう。
学習量の配分イメージとしては、行政法3割弱、民法3割弱、憲法2割弱、その他の科目が3割弱といったところです。
行政書士試験の学習の流れ
ここからは行政書士試験の学習の流れを、学習前期、学習中期、学習後期の概ね3つの段階に分けて説明していきます。
学習前期
学習前期は通信講座の講義の視聴、テキストの読み込み等により、知識
をつけていくインプット学習中心の時期です。
ここで注意が必要なのは、インプット学習が中心だからといって、完全にインプット学習のみではいけないということです。
1講義ごとや、1分野ごとの区切りで必ずアウトプット学習も取り入れるようにしてください。
ベストのアウトプット教材は「過去問題集」です。
インプット学習での知識の定着の確認とともに、出題傾向などの確認が同時にできるため、その後のインプット学習でも、重要なポイントがどこなのかの感覚をつかみやすくなるため、過去問題集の活用は学習の当初から取り入れていきましょう。
また、この時期に行うべき学習は中心となる3大科目、民法、行政法、憲法です。
概ね民法1カ月、行政法1カ月、憲法3週間強程度のイメージで進めていくのがおすすめです。
学習中期
学習中期では、学習のメインが3大科目のインプット学習から3大科目のアウトプット学習に移行していきます。
この時期においても、基本的には過去問題集を優先的に反復し、その他の問題集などは補足的に使用しましょう。
インプットの流れが民法→行政法→憲法だったとしたら、これを1セットとして、アウトプット学習を1カ月~1カ月半で1回転させ、3~5回転していくことで、知識の精度を高めていきましょう。
1セットの期間が短かすぎると感じるかもしれませんが、なるべく短期間で知識を総ざらいしておくことで、学習のスタート地点に戻ったときにその分野の知識をほとんど忘れてしまっているという事態を防ぐことができます。
1回転目はなかなかしんどいかとも思いますが、2回転、3回転としていくうちに、知識の定着を実感できるとともに、学習の負荷やストレスも軽くなっていきますので、なんとか1回転目を乗り切って、学習を軌道に乗せてください。
また、この時期からは3大科目(民法・行政法・憲法)のアウトプット学習が1回転するごとに、中心科目以外の商法、基礎法学、一般知識等のインプット学習もスタートさせましょう。
学習後期
ここでの学習後期とは、試験の約2カ月前、9月以降を指します。
この時期に学習したことは、試験に近い時期であるだけに記憶が維持し易く、試験本番が近づくごとに学習したことが本試験で得点につながる可能性が高まるため、非常に重要時期であるといえます。
まれに3カ月程度の学習で合格するような方がいるのも、このためです。
試験直前に集中的に長時間の学習を行うことは、学習効率という面では間違いなく効果的でしょう。
オーソドックスな9カ月程度の学習計画であれば、この時期は学習中期で後回しになってしまった科目の対策を行うべき時期となります。
特に一般知識等は後手にまわる可能性が高いので、この時期に集中してインプット学習を行います。
また、10月の中旬までには、本番での時間配分のシュミレーションも兼ねて、少なくとも1回は模擬試験を受けておきましょう。
行政書士試験の学習スケジュール戦略まとめ
ここまで見てきたように、行政書士試験の学習スケジュールは、総時間700~800時間程度の学習量を基準として、9カ月程度~長くとも1年程度の期間をかけて、重要な3科目(民法・行政法・憲法)を中心として、インプット学習とアウトプット学習を繰り返すことがベースとなります。
なお、他の国家資格(宅建士など)において、民法の学習をすでにされた経験のある方は、かなりのアドバンテージがあるため、総学習時間はこれより少なくとも済むでしょう。
一方、法学部出身などの方で法律学の基礎知識がある方でも、試験を解くための知識という意味では、ほとんどアドバンテージがないため、やはり初学者同様の学習時間を基準としてスケジュールを立てることが無難でしょう。
それではこの記事を参考に、しっかりとした戦略とスケジュールを組んで難関の行政書士試験に挑戦して下さいね!